2024.05.02 - 2024.05.08
LA 出身のソロアーティスト「Hana Vu」のアルバム「Romanticism」の5曲目「Care」。アルバムもオルタナティブなアルバムとしてめちゃくちゃかっこいいが、何はともあれまずは MV を観てみてほしい。
曲はまるで Oasis 中期のノエル・ギャラガーのよう。アコースティックギターから始まり、ドラム、ギター、ストリングスが追加されていく壮大なロックバラード。めちゃくちゃ自分の好みのサウンドで正直泣ける。そして、MV もかっこいい。ギョッとする捨てられた生首から始まり、そこから殺害シーンまで逆再生で巻き戻っていく。使い古されたアイデアではあるが、インパクトと曲の良さで見入ってしまう。
なぜ生首なのかのひとつの答えは、アルバムジャケットにあると思っている。「ホロフェルネスの首を斬るユディト」の絵のコラージュになっていて、まさしく首を切られるホロフェルネスに Hana Vu 自身の顔が当てはめている。この絵画の元ネタは旧約聖書の「ユディト紀」だが、主人公であり、反政府側のオピニオンリーダ的な解釈ができるユディトではなく、ホロフェルネス側が Hana Vu なことが、現代の混沌とした社会を表している気がした。
by grandcolline
地下アイドル、絵恋ちゃんのシングル曲「お邪魔しま stay me」。自分はしっかり追えていなかったが、今、地方に住んでその土地のアイドルとして活動するという「ご当地アイドルなりきりツアー 」をしているらしい。その第1弾大阪編ツアーで初披露されたとのこと。作詞は「服部真希」(くぴぽのまきちゃん)で、編曲は「音楽かいと」という関西在住の面々で制作されているのはそういうことかと思った。作曲は「栗原ゆう」。自分は知らなかった(勉強不足🫣)が、この方も関西でアイドルのプロデュースなどをされてるそう。
作曲も作詞も編曲も全て好き。曲の雰囲気は、2010年代前半のキラキラアイドルソングという感じか。Perfume、でんぱ組、tofubeats あたりからの流れを自分は感じた。作曲の栗原ゆうが自分名義で去年出している曲「HAPPY BIRTHDAY」も編曲が音楽かいとでめちゃくちゃ好みだった(テクノ感はこっちの方が強い)。この2人は要注目だと思う。
作詞で言うと、言葉のリズム感がめちゃくちゃ好き。あと、「アイドルは天使」「オタクはクレイジー」で軽く踏んでくるのも最高。笑ってしまった。
by grandcolline

山下敦弘の最新作「水深ゼロメートルから」。下北沢 K2 で公開記念舞台挨拶の回を鑑賞。山下監督の女子高生青春映画は「リンダリンダリンダ」以来かしら。
ただ、何といっても今回は脚本の「中田夢花」だろう。元々、高校演劇が原作の映画だが、その戯曲を高校3年時に書き、今回の映画の脚本も書いている彼女。また、若き天才があらわれたと思った。
まず、「水のない昼のプールでの会話劇」という設定。個人的な意見だが「夜のプールと濡れた制服」こそが、青春映画の最大のエモ要素だと思っている。自分が映画監督だったら絶対撮りたいシチュエーションだ。ただ、今回はその逆の水のない昼のプール。まったくエモくないのである。そのエモくない、ちょっとコミカルな会話劇こそが、この映画の一番重要なポイントだと思う。あまり映画らしくない設定こそ、退屈だけど特別な、等身大の思春期の女子高生をえがいているように感じた。
この映画のテーマは「女性とは何か」ということだと思う。社会的なものや身体的なものなど、登場人物それぞれがそれぞれに悩みを抱えている。コミカルに軽い感じの会話で進んでいっていると思いきや、気づかないうちにこちらにも深く考えさせる様は演劇を観ているような気分にさせられた。登場人物が全員女性なだけでなく、全編を通して男が全く映らないというのも良かった。
水のない昼のプール、濡れない制服。その中で物語は進んでいくが、最後に裏切りがある。めちゃくちゃにかっこいいシーンであったが、個人的には、そのまま最後まで水のないプールのまま押し倒しても良かったかなとも思った。ただ(ある種、映画的に)最も印象的で最高のシーンであることは間違い無いと思う。
原作の高校演劇バージョンが YouTube にあがってるのでそちらも。
by grandcolline

半年ごとに開催されている「田中宗一郎」と「宇野維正」の大阪でのトークイベント、2024年GW編。アーカイブ配信を視聴。ちょうど話題の真っ只中だった NewJeans から映画の撮り方の話まで、会場やチャットの質問から展開していくスタイルのトークイベント。質問からうまく脱線していくことで、トークがドライブしていくのはこういうことかと思った。
特に気になったテーマは、アート・ポップカルチャーと社会の結びつきについて。2010年代は、アート・ポップカルチャーと社会を意図的に結びつけて話をしていたが、2020年代は産業や社会情勢抜きでアート・ポップカルチャーを語れなくなってしまったという話。なるほどと思うことが多く、めちゃくちゃ納得感があった。
by grandcolline
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浦安在住のソフトウェアエンジニア兼ラッパー。90 年式。 HIP HOP、社会学、お笑い、ラジオ、エヴァが好き。
下北沢在住のソフトウェアエンジニア。91 年生まれ。 UK ロック、映画、アイドル、お笑いなどのコンテンツが好き。

93年の起爆屋、または起爆装置