2024.05.23 - 2024.05.29

ニッポン放送の特番「カルチャーに抱かれたい」。DJ は銀シャリの橋本直とティモンディの前田裕太。2人とも自分の好きな芸人。
特に、銀シャリ橋本のこう言った番組での立ち振る舞いは、chelmico の鈴木真海子とやっていた「CROSSPOD」というラジオ番組でも感じたが、とても好感が持てる。まさに、真正面からカルチャーに抱かれたいと思っているというか。自分を隠キャだと思ってる人の陽キャを冷笑するムーブがちょっと苦手なので、銀シャリ橋本のこういうところが好きだ。
このラジオ番組内で紹介されたコンテンツの中で気になったものをいくつかあげておく。
君と宇宙を歩くために / 違国日記 / 顔がこの世に向いていない / ここは今から倫理です。/ ケンコバのほろ酔いビジホ泊 / ドランク塚地のふらっと立ち食いそば / in the blue shirt / Night Fishing is Good
by grandcolline
2018年公開の濱口竜介監督作品「寝ても覚めても」。濱口監督の「悪は存在しない」があまりにすごかったので、過去作もみてみたいと思い、Amazon Prime Video で鑑賞。
東出昌大もすごいけど、廣田えりかの映画だと思った。画面に映る廣田えりか演じる朝子が、純粋なんだけど、ホラーチックなミステリアスさもあって、とにかく魅力的だった。
物語終盤の連れ去られるシーンでは北野武監督の「Dolls」の西島秀俊と菅野美穂のパートを思い出した。どちらも純愛を描いているが「寝ても覚めても」との違いは選択である。夢、現実逃避ではなく現実を。その選択を東日本大震災の復興と絡めて描かれているのだと思った。ラストの川のシーンも、そこで流れる tofubeats の「River」の歌い出しが「寝ても覚めても愛はとめどなく流れる」なのがめちゃくちゃ感動的だった。寝る前に少しだけ見ようと思って見始めたけど、朝5時まで一気に観てしまった。
by grandcolline

哲学者・小説家の千葉雅也の新刊本「センスの哲学」。吉祥寺のジュンク堂で入り口のいいところに平積みされていたので、ちょっと立ち読みして勢いで購入。千葉雅也自ら「勉強の哲学」「現代思想入門」と合わせて、自身の著作の入門書3部作の最後、美的判断・芸術批評の入門書として位置付けている。千葉雅也の博論の研究テーマであるフランスの哲学者「ドゥルーズ」も後期は芸術批評の著書を出していたので、3部作の最後が芸術批評なのは通ずるところがあるなぁとか思ったりもした。
自分がこの本の面白いと思った部分は、宮台真司が90年代に言い放った「意味から強度へ」というフレーズの「強度」を「リズム」と言い換え、「存在・不在のビート」「生成変化のうねり」を感じとること(=「センス」)で、芸術を捉えようとしている試み。そしてそこから、再び「意味」を再構築(=「意味の脱意味化」)をしているところである。
これまでの人生で、自分は無意識のうちに、この本で「脱意味」や「モダニズム」と言われているものにかなり傾倒しているのではないかと思った。本の中でも具体例として紹介されている、ゴダールの意味のわからないモンタージュに興奮したし、わけもわからず(厨二病わずらわせて)ボードレールの詩を読んで、普段は絵画など全く興味がないくせに「モネ」の絵だけは見に行ったりしていた。この本の具体例とは異なるが、特にロックやポップの音楽に関しては、自分は意図的に意味を排除して聴くようにしていたと思う。例えば、はっぴぃえんどの「風をあつめて」はとても好きな歌詞だが「路面電車が海を渡ったのを見て風を集めること」に意味はないと思っている。ただ浮かび上がる情景や、メロディとあいまった時の言葉の響きを美しいと感じるだけでいい。そこに意味を求めたりはしなかったし、意味を求めることは無粋とすら思っていた。
自分がこのように感じてたからこそ、この本の中で「リズム」という言葉で感覚(センス)をうまく体系たてて言語化されていたように感じた。そう感じた人はかなり多いと思う。
そして、そこからさらに、意味をリズムで捉えて「意味の脱意味化」を考えるのだが、あまり難しい話ではない。人は全体を通しての意味(本の中では「大意味」と呼ばれる)に感動をするが、そうではなく、部分部分が面白ければそれで十分で、展開のリズムや絡まり合いを楽しむということを推奨している。これは蓮實重彦の「表面的な芸術鑑賞」であるらしい。そして、そのように部分から部分へ目を遊ばせて書かれた文章も「批評」なりうると言っている。
意味的な観点でも、部分部分に注目していくということはめちゃくちゃ面白いと思った。自分は、意味を考える時にどうしてもマクロな主題を考える傾向にあると思う。即物的なディティールについての感想を書いていくという技術は身につけていきたいと思った。蓮實重彦も名前こそめちゃくちゃ良く聞くが、ちゃんと書籍を読んだことがないので、読んでみたいな。
by grandcolline
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浦安在住のソフトウェアエンジニア兼ラッパー。90 年式。 HIP HOP、社会学、お笑い、ラジオ、エヴァが好き。
下北沢在住のソフトウェアエンジニア。91 年生まれ。 UK ロック、映画、アイドル、お笑いなどのコンテンツが好き。

93年の起爆屋、または起爆装置